【賃貸のLPガス料金上乗せ慣習に行政のメス】法の施行が賃貸収支に与える影響と、今後の対策について

「過大な営業行為の制限」です。具体的には以下のように改正方針が定められました。

①LPガス事業者は、賃貸集合住宅または戸建ての消費者とガス契約を自己と締結させることを目的として、賃貸集合住宅のオーナーまたは戸建の消費者等に対し、正常な商習慣を超えた利益を供与してはならない。

②賃貸集合住宅のオーナーまたは戸建の消費者等との間で、LPガス事業者の切り替えを制限するような条件を付した貸与契約等を締結してはならない。

これは賃貸住宅において入居する消費者が、賃貸オーナーが選択したLPガス供給事業者と契約を締結するしかない現状と、戸建てにおいても一度、契約してしまえば長期間に渡り契約が継続されるという実態を踏まえ、LPガス事業者による賃貸オーナー、不動産管理会社、建築事業者、消費者などにたいしての「正常な商習慣を超えた利益供与を禁止する」ということです。

正常な商習慣についての判断基準は、今後、各種施行規則や解釈通達、ガイドラインを参考に検討を続けるとしています。

ですが、よく耳にする「工事代金や設備機器を無料にするからウチを採用してください」という営業トークは、今後、使えなくなる可能性が高いでしょう。

また「損して得取れ」の考えから、工事代金や設備機器無料の見返りとして設けられる契約条項、つまり「LPガス事業者の切り替えを制限する条項」などについても原則禁止されるようです。

これらに違反した場合、30万円以下の罰金など具体的な罰則が設けられる予定ですが、それについてはまだ検討中であり後続を待つ必要があります。

今回、解説を行った内容はあくまで現在入手できる情報に基づいている内容ですから、詳細な内容については公布を待つ必要があります。

経過措置期間

現在の予定としては公布から3ヶ月を経過して施行されるとなっています。

注意したいのは、施行日以降、今回解説した内容に抵触する新規契約が禁止されるのは当然として、既存契約の更新も禁止されるということです。

管理会社に従事しているかたはもちろん、自社で管理を手掛けている場合には施工前までに今回の改正ポイントを理解して、ガス料金の内訳変更や家賃の見直しなど、賃貸オーナーと協議して対策を講じる必要があるでしょう。

また管理を手掛けていなくても、LPガスを利用している賃貸集合住宅を紹介する場合に必要な知識として理解しておくことが必要でしょう。